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5. トレーニングスタイルの確立。安全で効率的な方法をいつも探していた

誰もいない夜の幼稚園。
その中から聞こえてくる金属のぶつかる音。

トレーニングは場所を選ばない

私がトレーニングをしていたYMCAは、
会員制のスポーツクラブでした。


スポーツクラブとは言っても、

トレーニングする場所は、
幼稚園の講堂。


幼稚園は日中しか使わないですから、
空いている夜の時間を借りていたんです。

夜7時くらいから。



情熱が人を動かす

我々のボディビルクラブだけではなくて、

他にも沢山のクラブがありました。


社交ダンスやフォークダンス、
卓球などなど。

どのクラブもけっこうレベルが高かったですね。



活動は各クラブ週に2回、
一日おきに交代で場所を使っていました。


そういえば、
他のクラブはどこも週2回だったんですけど、

我々のボディビルクラブだけは、
なぜか週3回使っていた。


私が入るもっと以前のことだったらしいんですけど、

ある先輩が、
どうしても土曜日に貸してほしい、
と懇願したらしいんです。

それでは特別に、ということで、
ボディビルだけ週3回になったらしいんです。


よほど、情熱に溢れていたんでしょうね。

トレーニングスタイルの確立

そんな理由から、ずっと、
週3回のスケジュールでトレーニングを続けていたので、

だんだんと一日おきのペースが、
体に合うようになってきました。


毎日トレーニングをすると、
どうしてもオーバーワークになりやすい。

好きなことはついついやり過ぎちゃいますからね。


一日おきというリズムが、
私にはすごくちょうどよかったんです。



この頃に、
コンディション作りのペースや方法を覚えていきました。

自分のトレーニングスタイルが、
だんだんと確立してきたんです。


そのおかげで、
未だにオーバーワークになりません。

工夫は不便から生まれる

練習場所には、

備え付けのトレーニングマシンや、
器具などはありませんでした。


常設の場所ではなく、
幼稚園の講堂を夜間借りていただけなので、
トレーニング環境としては、
決して十分な場所ではありませんでした。



ベンチプレスの台が2台とスクワット台くらい。

それにバーベルやプレートがいくつか。

毎回、倉庫から出して、その度にセットして、
ようやくトレーニング開始です。



ベンチプレスの台などは、
バーベルを乗せておくラックは付いていないので、

ペアになって、補助をする必要がありました。


それでも、ひとりでやる時もあります。
でも、重い重量をあげたい!
でも、一回でも多くやりたい!
と思ってしまうわけです(笑)。

すると、
自然と頭をひねって工夫をする。

そういう状況から、
いろいろなアイデアが、
どんどん出てくるんですよね。


ひとりで行うベンチプレスのやり方

例えば、
ベンチプレスをひとりでするとき。

終わった後はバーベルを一旦胸に下ろして、
転がして骨盤の辺りまで持ってくる。

そこから上半身を起こす。

これなら補助がなくても安全に出られます。


そういった方法を、
いろいろと工夫して、
失敗して痛い思いもしながら、
ひとつひとつ見つけ出していきました。


だから、ジムを始めてからも、

「私がいない時にもしもつぶれちゃったら、
こうやって安全に出てくださいね」

という安全に配慮した、
経験に基づいた指導ができたんです。



今のマシンや器具は高機能で、

いい時代になったなあと思う反面、

使う側の独創性や発見は、
少なくなってしまったんじゃないか、
と感じます。


昔は今よりも便利じゃなかったから、

その分、身体だけでなく、
頭もトレーニングできましたね。

時にはトレーニング環境を変えてみる

私が所属してたのは、
江東YMCAというところ。


それ以外に、
神田のYMCAにもたまに顔を出して、
トレーニングをさせてもらっていました。


本当は、
所属以外の施設は勝手には使えないんですが、

神田で2番目にエラい人が私をかわいがってくれていて、

ナイショで入れてくれてたんです。

もう時効ですよね?(笑)



神田に行くと、
私の体は群を抜いて大きかったようで、
目立ってしまうんです。

「その背中はどうやって鍛えたんですか?」
とか、
いっぱい質問されました。



一番熱心に聞いてこられたのは、
ロッククライミングをされていた方。

大会で優勝したこともあったそうで、

小柄だけどすごい筋肉でした。

贅肉ひとつなかった。


そしていかにも頭が良さそうでした。

ロッククライミングは体力だけじゃなくて、

戦略とか直感とか、

頭脳の明晰さも求められるんでしょうね。



その人は学校の先生だったらしいです。

他にもクライミングをされている方に何人も出会いましたが、

不思議と学校の先生が多かった。

夏休みとか長期の休みがとりやすいからなんでしょうか。


筋肉を動かすだけが、トレーニングではない

そうやって、

普段と違う場所に行ってトレーニングをすると、

いつもとは違ったバックボーンを持った人たちと出会えて、

本当に刺激になりました。

いろいろな人のいろいろな考え方や知識が、
自分のトレーニングにも反映されていき、
進化を続けていく。

人との交流や、
未知の環境を覗いてみることで、

トレーニングや指導の幅が、
広がっていくのを感じていました。